情報 漢文、中国語

 「麗しい誤解2」に、シナに於いて、話し言葉を書き留める方法がなかった。だったら、あの古典及び漢文は、何だったのかと言う疑問が有りましたが、その答えがわかりました。

 岡田英弘先生の話では、古典及び漢文は、恰も、プログラミング言語のような人工語で、独特の語彙と文法を持った記号体系で、それなりの勉強をしないと、文章を書くことはおろか、読んで理解することさえ出来ませんとの説明を受けて、やっと、そのフィーリングが分かるようになりました。
 魯迅達が行った白話運動以前のものは、それなりの勉強をしないと、中国人にとって、全く、読めないということになります。普通の中国人には、漢詩、漢文は、理解できないとも、聞いています。
 面白いことに、逆に日本人は、古典の漢詩、漢文のルールを、書き下し文にするテクニックを身につけましたので、現代人の我々も、難しいですが、そんなに苦労せずに、古典や漢文を理解できます。
 現代の中国語を勉強していて、同じ漢字でも、今と昔で意味が異なるのもが有りますが、その理由も理解できます。
 すなわち、日本語になっている漢字は、当時の古典の時代の漢字そのままであり、現代の中国語の漢字は、恐らく白話運動以降の話し言葉から漢字に直したものでしょうから、違いが出てきます。日本語について言いますと、沖縄の言葉に、平安時代の古語が、今も生きていると言う話がありますが、沖縄には、千年も前に伝わった日本の言葉が、今も残っていて、本土の人間には、全く分からないと言う状態が起こっています。

 明治維新以降、日本では、欧米と交流するようになり、新しい概念を表す言葉が必要になりました。そこで、和語が発明されましたが、現代も昔も、中国語には、造語するようなシステムになっていませんでしたので、つい最近まで、日本生まれの和語を、輸入して使っています。「人民」「共産」「共和」「民主」「主義」等は、日本が発明し、中国が輸入した言葉です。例えば、コンピュータについては、「電子計算機」が日本語で、「電脳」が中国語になります。